Ryo's Diary

日常で感じた違和感や心が動いた体験を書き留めています。主なテーマは仕事、本、吃音など。

就労支援フォーラム

8/24~8/26に開催された就労支援フォーラムNIPPONにオンラインで参加しました。以前から興味はありましたが、予定が合わず遠方ということもあり、なかなか参加することが出来ませんでした。今回はオンライン開催のため、初めて参加することができました。

時間帯が17:30~20:30と中途半端な時間に開催されたので全てのプログラムを聞くことが出来なかったのですが、他事業所の事例や熱い議論を聞くことができて面白かったです。その中で、印象に残った内容を書いていきます。


働き方改革により障害者の仕事がなくなる?
これまでの障害者の仕事は、例えば物作りをしている企業では生産工程に直接携わる業務ではなく、その業務に付随する清掃や事務作業などの間接業務がメインでした。しかし、コロナによりテレワークなどの働き方改革が加速したことにより、会社に社員が来なくなっている。その結果、先ほどの間接業務が発生せず、障害者の仕事がなくなっているとのことでした。

そのため、今後は直接業務を障害者が担えるようにすることが課題だが、品質やスピードが求められる生産工程では障害者が入り込むのは難しいという意見がありました。しかし、生産性を上げて売上を伸ばすことだけが企業の使命なのか、障害者と共生できる社会を作っていくことも企業の役割だという意見もあり、企業のあり方についても考えさせられる内容でした。

 

ベルトコンベア式の就労支援からの脱却
法定雇用率2.2%に対して、現状は2.1%まで達成している。しかし、大企業で雇用されている障害者の仕事は先ほど述べた間接業務ばかり。これでは、自分が社会の一員として役に立っているという実感や成長を感じられないのではないかという意見がありました。

しかし、この現状には支援機関にも業務の切り出しなどの間接業務を提案してきた責任がある。障害者に対して「どの仕事ならできますか」と聞くのではなく、本人の希望を聞いて出来る限り叶えてあげられるようにサポートすることが大切になります。そのためには、支援機関が企業に対して「この人にはスキルがあり戦力になります」と投げかける必要があります。雇用率ばかりを追い求めるのではなく、これからは障害者が能力を発揮してやりがいを感じられるよう業務の質を上げることを意識しなければなりません。

 

「働く」を知らない支援員が多い
これは厳しい意見でした。就労を教える支援員が、「働く」を知らない。「仕事ってなに?」「なんのために働くの?」ということから、法定雇用率や最低賃金の計算方法など、就労支援のプロとしての意識が低いという指摘に私自身も認識の甘さを自覚しました。事業所によって支援の質が大幅に違うので、「認定制度を取り入れるべき」という意見もありました。

 

給付金を当てにしている事業所はいずれ潰れる
コロナで仕事がないと嘆く事業所は多いが、有効求人倍率は1%以上あり常に人手が足りていない現状。BPO(業務アウトソーシング)や施設外就労など、工夫して探せば仕事はいくらでもある。経営危機を乗り切れるよう、給付金を当てにするのではなく経営についても意識しなさいという意見でした。

 

就労定着支援システムSPIS
https://www.spis.jp/

睡眠時間や体調、その日の出来事などを記録して管理できるシステムです。項目をアレンジしてその人に必要な記録だけ残せること、体調を5段階ではなく4段階で評価することで振り幅が大きく体調が分かりやすいという点が良いと思いました。ストレスに感じた状況や時期を客観的に把握することで自己管理に繋がり、支援員者側も対策を打ちやすくなる。また、悩みを吐き出す場所があることで、支援員や職場担当者に気持ちを伝えることができるため、一人で抱え込んで急に仕事に来なくなるという事態が防げるという点が特に精神障害者の定着支援において重要なポイントだと思いました。注意点として、形式的なものではなく記録を残す意義をしっかりと考えたうえでやらなければ意味がないとも話していました。

ちなみに私も体調管理を始めようとアプリを探したら、『リズムケア』というスマホアプリがSPISと似たような機能を備えており、使いやすくて気に入っています。

参考『自由なカスタマイズ機能で自分だけの健康管理リストが作れる「リズムケア」』
https://appllio.com/app-rythm-care

 

中小企業の雇用促進や、仕事のやりがいについて
「法定雇用率があるから」「コンプライアンス(法令遵守)のため」など、仕方なく障害者を雇用しているという現状。障害者に対する知識の無さからくる偏見のため、雇用する側にも不安がある。「障害者でも働ける」ことを理解してもらわなければならない。企業側も「この仕事ならできる」と一部の業務のみ任せるのではなく、可能性があれば難しい仕事にもチャレンジする機会を与えることが大切だと話されていました。

従業員が少ない企業に関しては、雇用率に引っかからないため、もし採用する場合は通常業務をこなせるだけの能力が求められる。障害者側としても、中小企業なら能力を発揮できる可能性があるが、責任の重さや福利厚生の面で大企業を選択しているケースがあるそうです。

 

感想
今回の就労支援フォーラムに参加して、支援員としての視野を大幅に広げることができました。今までは事業所内での職業リハビリ(障害特性に応じた訓練方法など)に関することばかり勉強していましたが、最終的には就労を通じて社会での自立を促すというところで、私自身、世の中のことを知らなすぎたと気付くことができました。次回は11/18(水)にオンラインと対面で開催されます。今回は当事者が議論の場に出ていないことで机上の空論と指摘する声もあり、確かに支援者の思いが一人歩きしている可能性も考えられたので、次回はそのあたりも期待しながら参加させて頂きます。

 

下記、就労支援フォーラムにて出てきた用語です。私も実はあまり理解していなかったので、参考のため貼っておきます。

 

CSR(社会的責任)とは・意味』
https://ideasforgood.jp/glossary/csr/

 

『今さら聞けない! BPOとはどのようなもの?』
https://www.realgate.co.jp/md/1131/

 

コンプライアンスコンプラ)とは?意味や定義、違反事例や気を付けるべきポイント』
https://ferret-plus.com/7939

 

SDGsとは?』
https://imacocollabo.or.jp/about-sdgs/

 

『エッセンシャルワーカーとは?その意味や具体的な職業まで解説』
https://www.manpowerjobnet.com/haken_guide/improving-skills/essential_worker/