Ryo's Diary

日常で感じた違和感や心が動いた体験を書き留めています。主なテーマは仕事、本、吃音など。

みんなの学校

「みんなの学校」というドキュメンタリー映画を観ました。これは、大阪市にある大空小学校という公立小学校の2012年度をまるまる1年間を追った内容です。特別支援教育が必要な子、自分の気持ちをコントロール出来ない子、みんなが安心して同じ教室で学べる学校を先生や保護者、地域の人達みんなで作りあげている様子が映されています。
 
上映後には、撮影時に校長先生をされていた木村泰子先生によるトークショーが行われました。関西人ならではのジョークや毒舌を交えたトークはとても面白くて、会場の空気を終始和やかにしていました。教育現場で実際に子どもと深く関わってきたからこそ言える言葉には重みがありました。
 
僕も小・中学生の頃は学校から問題児扱いをされていました。毎日遅刻して、傷害事件を頻繁に起こし、授業中は勝手に席を移動して課題に取り組まず、グループ活動には一切協力しないなど最低な子供でした。
 
周りからは「落ちこぼれ」と呼ばれていたけど、本当は「普通になりたい」とばかり願っていました。みんなと同じように授業を受けて、みんなと同じように遊んで、みんなと同じような学校生活を送りたかった。でも、授業は全然理解出来ないし、吃音関係無く人と話すことが苦手で友達も出来ず、グループ活動では「俺と関わるのは嫌だろうな」と自分から輪に入ることを避けてひたすら寝たり窓の外を眺めて授業放棄していました。先生に注意されても舌打ちして無視したりと、反抗的な態度を取る不良のフリをすることで「できない」のではなく「やらない」のだと自分に言い聞かせていました。
 
この頃は毎日イライラしていて、少しでも気に入らないことがあるとすぐ暴力を振るっていました。感情のコントロールが出来なかったというより、暴力でしか問題を解決したり自分の気持ちを表現することが出来なかった。自分を守るための武器が、暴力しかなかった。
 
大空小学校の先生は、唯一の校則である「自分がされて嫌なことはしない。人に言わない」を子どもが破ったときは、その理由をしっかり聞いて、そうしなければならなかった子どもの気持ちを理解する努力をしていました。その上で、悪いことは悪いと教え、再び問題を起こさないように「やり直し」をさせていました。
 
僕は最低な子供で学校は居心地の悪い場所だったけど、もしこんな先生たちが居たらもっと安心して学校に行けていたかもしれません。この映画は、問題を起こしていた子どもの頃の僕を受け入れてくれて、まだどこか大人になりきれていない不安定な心を優しく包み込んでくれた気がしました。上映中ずっと涙が止まらなかった。
 
大人になった今でもまだまだ感情のコントロールが出来ずに失敗ばかりです。でもそんな自分を受け入れてあげて、何度失敗しても「やり直し」できることを忘れずに生きていきたいと思います。
 
「みんなの学校」劇場予告篇