Ryo's Diary

日常で感じた違和感や心が動いた体験を書き留めています。主なテーマは仕事、本、吃音など。

妹の気持ち、兄知らず

数ヶ月前、しばらく連絡を取っていなかった妹から突然連絡が来た。何事かと思ったら「iPadが欲しいからお金が欲しい」という内容だった。


何のためにiPadが必要なのか尋ねたところ、妹は現在高校3年生の受験生で、愛知県の有名私立大学進学を目指しているらしい。そのため、勉強の効率を上げるためにiPad(約10万円)が欲しいと言ってきたのだ。


「その大学に入るためには相当勉強を頑張らないといけないぞ。そもそも学費や生活費はどうするつもりなんだ」と聞いたところ、「勉強が大変なのは分かってる。学費は出してくれる人がいるし、生活費は奨学金やバイトで何とかするつもり。本気で目指しているから、協力して欲しい」と懇願してきた。


なかば呆れながら「そんなに甘いものじゃない。その大学に入ること自体とても難しいことだし、仮に入学できたとしても大学で学びながら生活費を自分で稼ぐのは生半可な気持ちでは無理だ。単純に都会に憧れがあるだけなら諦めた方がいい」と妹を諭した。


しかし妹は一切聞く耳を持たず「私がどれだけ勉強頑張ってるか知らないでしょ。私にはちゃんとそこに行きたい理由があるし、本気で目指してるから」と反発してきた。


「どうしてもお金を出して欲しいと言うなら、自分がどういう思いでその大学に行きたいのか理由を述べて、受験勉強及びにその後の大学生活を全うする覚悟があるのか見せなさい。その上で、現在どれだけ勉強を頑張っているか成績表を提示して、iPadを使用することでどれだけ勉強の効率が上がり合格する確率が上がるのか具体的に説明すること。そして入学してから卒業するまでにかかる学費や生活費を算出して、どのようにやりくりしていくのか、俺が納得できる形で説明できたら考えてもいいよ」という条件を出したところ、結局曖昧な答えばかりで納得できる説明は得られなかった。

 

「地元からわざわざ愛知に出て来る必要が本当にあるのか。学びたいことや取りたい資格があるなら自宅から通える範囲で学校を探した方がいいし、単純に都会に出たいだけなら愛知で就職して、俺みたいに働きながら大学に通えばいい」とアドバイスをしたけど、受け入れられる様子ではなかった。結局そこで妹との連絡は途絶えた。


こういうやりとりがあったことを職場の人達に話したところ、「Ryoさん、大人の俺たちは言ってることすごいよくわかるけど、17歳の高校生に言うことではないですよ。他に頼れる人がいなくて頼ってきてる妹になんちゅーこと言ってんすか」「そうそう、きっと面倒くさいお兄ちゃんだって思われてますよ」「意外とドライなんですね」と非難の嵐を受けてしまいました。

 

そう言われると確かに、僕も高校3年生の頃は同じように東京の大学に行きたいと思っていました。窮屈で何一つ楽しい思い出がない地元を離れ、夢と希望で溢れる都会の大学で新たな人生をスタートしたかった。そのためなら、勉強はいくらでも頑張れるし、奨学金を借りてアルバイトをすればお金の問題は何とでもなると信じていました。

 

結局僕は、勉強も頑張れずお金も稼げずで夢を諦めました。だから同じ経験をさせないよう現実的なアドバイスをしたつもりだったけど、本当は妹の中に過去の世間知らずで自分をちゃんと理解していない癖に夢見がちな自分を見てしまってようでイライラしてしまったのかもしれません。

 

このやりとりを客観的に見ると、よくある親子問題だなと感じました。大人は現実的かつ合理的な方法で目標達成までの道のりを考えるけど、子供はまず大きな夢を見て挫折して、そこで色々学び大人になっていくんだったと思い出しました。

 

他人に迷惑をかけなければ好きなように人生を生きればいいと思うので、妹の行く末を遠い安全な場所からたまに傍観したいと思います。