Ryo's Diary

日常で感じた違和感や心が動いた体験を書き留めています。主なテーマは仕事、本、吃音など。

small step

出張で宿泊しているホテル近くに空手道場があったので見学に行きました。私が所属している流派とは違うのですが、少し縁があり先週その流派の県大会を観戦したばかりだったので興味もありました。

 

少しドキドキしながら道場に向かう。ホテルから5分ほど歩いたところで常設の道場が見つかりました。事情を説明すると「是非稽古してってください」と言われたのでそのまま稽古に参加させて頂きました。

 

 他流派で10年近く稽古していると話したら「今日は道場破りが来たぞ!」と皆んなに言って温かく迎え入れてくれました。

 

この日は県大会が終わって初めての稽古日だったらしく改めて道場で入賞した選手の表彰式を行なっていました。(しっかりBGMを付けて)

 

そこで先生が「大会で負けた子の中には結果報告に来ない子がいる。または、来ても落ち込んだ顔で負けましたとだけ報告する子。大会に出てその舞台で戦っただけでもすごく成長できることなのに、負けたことばかり気にして落ち込まなくてもいい。自信を持って報告に来ればいいから」と生徒たちに話していました。

 

稽古始めはまず正座をして黙想。道場訓はもちろん、支部独自のスローガンや万葉集論語の斉唱を10分ほどかけて行なっていました。

 

そしてその後はいきなりサポーターをつけて組手。この流派は組手中心で正拳突きなどの基本稽古や型稽古はしていないみたいです。10人ほど参加者がいましたがほぼ全員黒帯。経験者ということで遠慮なくボコボコにされました…笑

 

ここ数年は仕事やプライベートに時間を取られて稽古にあまり参加できていなかったので、激しい組手をしたのは久しぶりでした。それでも日頃からジムに通ったりシャドーを続けてる成果か思ったより動けていて、稽古終わり先生から「りょう、今日は頑張ったね」と声をかけてもらいました。(自己紹介したときから下の名前で呼んでくれています)

 

稽古後、大会の打ち上げでラーメンを食べに行くことになり「りょう、来来亭な」と言われたので「今からですか?大丈夫です」と答えたら「お願いしますだろ」と言葉遣いを指摘して頂きました。

 

そしてラーメン屋に移動。同じテーブルに座っていた人たちが色々と話しかけてくれてそれに答えていたけど、ほとんど話を聞いているばかり。先生が離れたカウンター席からその様子を見ていて「りょう、もっと喋れよ。皆んなも質問責めにしてあげて」と声をかけにきてくれました。そして他の生徒たちと同じくラーメン代も出していただきました。店を出るときには「食器を綺麗に並べといて」と生徒たちに指示を出してマナーや礼儀をしっかりするよう指導していました。

 

帰り際、サポーターを返しそびれていたのでさっさと車に乗り込んだ先生に慌てて「すいません、これ…」と声をかけたら

 

先生「何か言うことあるだろ」

私「あ…今日はありがとうございました」

先生「ごちそうさまですだろ。月謝を払っていない僕にもご馳走していただきありがとうございますと言いなさい」

 

と、初めて会った私に対して厳しく人間教育をしていただきました。最後に「いい動きだったよ」とお褒めの言葉をいただき、すごく人徳の備わっている先生だと思いました。

 

このように先生がしっかりしていてユーモアもあり、道場生は礼儀正しく空手も強く、たまたまだけどとても良い道場で稽古させてもらえたことに感謝しています。

 

それでも帰り道は反省会。まずはラーメン屋でほとんど話しかけられなかったこと。吃音の調子は良くあまりどもらなかったけど、まだ自分から話しかけるのは怖さがある。聞きたいことはたくさんあったのに聞けなくて後悔が残っています。

 

「人と話せるようになったのはつい最近でまだコミュニケーションが上手く取れないから仕方ない」など自分を守るための言い訳ばかり頭に浮かびました。以前に比べたら打ち上げに参加する、他の人が話していたら姿勢をそちらに向けて相槌を打つなど非言語的なコミュニケーションはできるようになったので確実に成長はしていると思います。でもそろそろ次のステップに移らないといけない。

 

余談ですが、以前空手の先生に稽古後食事に誘われて断ったことがありました。話すことが苦手という理由と、私なんかのために食事代を出してもらうのは申し訳ないと思ったから。でも家に着いた頃、別の先輩からメールがきて「先輩からの誘いは断ったらダメだよ」と注意されました。相手に気を遣っているつもりが失礼なことにあたるのだとこのとき知りました。

 

これからの課題は、相手に質問されたら答えて終わりではなくこちらからも相手に投げかけをするようにする。自分が入れそうな話題のときは勇気を出して発言してみる。こうやって少しずつステップアップしていきたいです。

 

本来ならあまり話せなくても居心地は悪くなかったから別にいいやと感じるはずだけど、この人たちとはもっと良い関係を築きたいと思えたから。この気持ちを忘れずに頑張りたいです。

 

また一つ、素敵な出会いに恵まれてよかった。