懐かしい記事
以前書いていたブログを数年ぶりに見てみたら懐かしい記事を見つけました。この頃は毎日のように悩んでいて考え方も幼く不安定だったけど、それでも何とか前向きに生きようと藻掻いていました。
【2011年4月14日 mixiより】
これはついさっき実際にあった話です。
今日は空手の練習の日だったけど昼から友人と遊んでいました。
家に帰る頃にはもう練習が始まる時間…
自転車や徒歩で歩き回って疲れたので練習を休むと正直にメールを送りました。
すると返信が…
「お前はもう練習に来なくていい」
この返信を見たとき正直腹が立ちました。
こっちは毎日バイトと練習で遊ぶ暇がないから一日くらい休んでもいいだろと。
そして僕からメールを送信。
「わかりました。せっかく練習してきたのに大会に出れないのは残念ですけど、良い経験になりました。今までありがとうございました。」
このメールを送った時、僕はもうこれで空手をやめることになると思ってました。
その後先生から着信があったけど出ませんでした。
すると先生からメールが…
「お前は勘違いしてる。
俺がどんな思いで皆より早く体育館に行って場所を取ってると思ってるんだ。
ふざけたメール送りやがって…体調が悪いとかバイト入ったとか言えないのか?
とりあえず電話しろ!
前の道場みたいにメールだけでやめるつもりか!?
待ってるからな!!」
そして僕から電話をかけ10分ほど話しました。
「お前は俺が練習休んだことに対して怒ってるとでも思ってるのか?
皆仕事が大変でも練習来てるのに遊び疲れたなんて理由は俺たちを馬鹿にしてる!
理由なんて嘘でもいい、誰もつっこまないから。
ストレートすぎるんだよ、そういうのも勉強だぞ。
それに俺はお前を強くするって決めたんだ!
毎週お前を体育館まで送り迎えしてたのも、単に雨や雪が降ってるからじゃない。
お前が空手好きで頑張ってるのを知ってるから、少しでも応援したいんだ!!
お前だって自分で体育館行ってウェイトしてるのは空手が好きだからだろ?
お前から空手を取ったらただの貧乏なフリーターだぞ。
練習でキツイこと言うこともあるけど、それはお前に期待してるからだ。
俺以外にも皆がお前を応援してくれてる。
それなのに急にやめるなんて言ったらみんな悲しむだろ…
だからもう空手やめるなんて二度と言うんじゃねーぞ!!」
僕のためにここまで言ってくれるとは思わなかった…
いつも怒られてばかりだけど、それだけ期待してくれてたんだ…
それなのに簡単にやめるなんて僕が馬鹿だった。
今まで嫌なことがあったらすぐやめてきたけど、今回は違う。
あの先生でなければ空手なんて今頃とっくにやめてると思う。
今は空手もたいして成績出してないただのフリーターだけど、いつかあの人のような空手の先生になるのが僕の夢です。
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5年前だとまだ19歳ですね。仕事も勉強(このときは自宅浪人しながら大学進学を目指していた)も上手くいかず、唯一継続して頑張れていたのが空手でした。
自暴自棄になり何かを壊したかったのか、辛いことを訴えたかったのか…。色んなことを我慢してばかりで素直にSOSを伝えることができなかった。
当時の先生には稽古に行くたびに怒鳴られて顔を思い出すたびに腹を立ててたけど、今となってはそうやってお尻を叩いてくれる人がいたから頑張れてたんだなとよくわかります。
「師弟愛」と名付けられたこの記事。自分もこの人のように熱くて思いやりのある人間でいたいと思っています。
叱られて気付くこと
先日映画を見るためショッピングモールに行ったのですが、町内会写真サークルの作品が展示されているコーナーがあり見慣れた名前が目に入りました。今年の一月まで同じ職場に勤めていて私もよくお世話になっていた元親方の作品です。
京都の伏見稲荷を撮ったと思われる写真。難病を患い定期的に京都へ通院していると話していたのでそのときに撮影したのかもしれません。確か古希を迎える年齢ですが好奇心が旺盛で何事にも興味がある人でした。以前京都でサークルの合宿をしたという話をしたらわざわざ同じ施設を予約して宿泊してきたそうです。
私が入社した数ヶ月後からこの人の手元として一緒に仕事することが多くなりました。入社前から「職人気質で頑固者。すぐ怒るし一緒に仕事するのは大変」という噂を聞いていたのですが、確かに毎日のように怒鳴られていました。「効率が悪い」「どうしてこんなことも理解できないんだ」「仕事が覚えられないなら辞めればいい」などボロカスに言われる日々。
それでも反抗せず素直に叱責を受け止めながら地道に努力していたのが評価されてきて、「一回言って覚えられないなら何回でも言ってやる。他の人なら一回言ってダメなら見捨てるけど、俺はお前に情が入ってるからな」と言ってもらえました。
アドラーの教え
先日、参加している吃音当事者会の例会でアドラー心理学を学びました。事前知識として「嫌われる勇気」という本を読んだのですが、そこで語られるアドラーの言葉が自分のことを言われているようで心に突き刺さりました。とても深い内容なので印象的な文章だけ抜粋して私の感想と共に書いていきます。
劣等コンプレックスを抱えている人は「AだからBできない」と考えます。「学歴が低いから成功できない」というように。このことをアドラーは「見かけの因果律」という言葉を使い、本来は何の関係もないところにあたかも重大な因果関係があるかのように自らを説得し、納得させてしまうと説明しています。裏を返せば「Aさえなければ、わたしは有能であり価値があるのだ」と言外に暗示していることになります。
私も吃音や生まれ育った家庭環境で深く悩まされていたときは「吃音さえなければ...こんな家に生まれてなければ...」と毎日のように考えていました。友達がいない、恋人ができない、仕事を上手くこなせない...これら全て吃音や家庭環境のせいにしていました。今になって思い返すと、とても狭い視野で世界を見ていたと当時の価値観を振り返ることができます。
また不幸自慢も劣等感からくるものだとされています。自らに降りかかった不幸を、まるで自慢するかのように語る人。こういう人たちは、不幸であることにより「特別」であろうとし、不幸である一点において人の上に立とうとします。他者に慰めの言葉をかけられても「あなたにはわたしの気持ちはわからない」と拒絶することで、誰もなにも言えなくなり周囲の人は慎重に接するようになります。自らの不幸を武器に、相手を支配しようとしているわけです。
私も「吃音の辛さは当事者にしかわからない!」と言って家族と言い争ったり、母子家庭で高校を卒業できなかったことから大卒の人たちを敵対視したりと、見事にアドラーの言葉が自分に当てはまりました。改めて劣等コンプレックスの塊なんだと気付かされました。下記に印象に残った文章を載せておきます。自分への戒めとしても心に刻んでおかなければなりません。
“もちろん、傷を負った人の語る「あなたにはわたしの気持ちがかわからない」という言葉には、一定の事実が含まれるでしょう。苦しんでいる当事者の気持ちを完全に理解することなど、誰にもできません。しかし、自らの不幸を「特別」であるための武器として使っているかぎり、その人は永遠に不幸を必要とすることになります。”
長くなりましたが、「嫌われる勇気」の続編「幸せになる勇気」も勢いで読んだのですが、ここでも印象に残る言葉が出てきたのでもう少しだけお付き合いください。
私は現在吃音で悩むことは少なくなり、過去の家庭環境を思い出してストレスを感じることもなくなりました。それなら特に問題はないのではないかと思われますが、アドラーの言葉で思わぬ落とし穴を発見することになりました。
“自分の過去について「いろいろあったけど、これでよかったのだ」と総括するようになる。これは「いま」を肯定するために、不幸だった「過去」をも肯定しているのです。”
“われわれの世界には、ほんとうの意味での「過去」など存在しません。十人十色の「いま」によって色を塗られた、それぞれの解釈があるだけです。”
“人間は誰もが「わたし」という物語の編纂者であり、その過去は「いまのわたし」の正当性を証明すべく、自由自在に書き換えられていくのです。”
上記の言葉から、私自身悩みを抱えた若者に対して「吃音は確かに辛いけど、それがあるおかげで強くなれるよ」「社会に出てみると複雑な家庭環境で育った人なんて珍しくないよ」などアドバイスしていることがあるけど、それは辛かった過去の感情から目を逸らした発言で、現在悩んでいる彼らにちゃんと向きあえていなかったのではないかと考えさせられました。
また前々回吃音当事者会の例会で「結婚したら家族を守るため簡単には仕事を辞められない」という意見に対して、私が「フリーターの親に育てられたけど最低限の生活はできたし、今では僕も自立した大人になれているから人生なんとかなりますよ」と発言しました。それに対して他の会員から「Ryoくんはそれで幸せだった?」と問われハッとさせられました。
「どうしてちゃんと働いてくれないんだろう」「自分が将来結婚して子どもを育てる立場になったら絶対自分のような思いはさせない」と子どものころ決意していたのに、このことを忘れての発言だったのです。
つらい過去を封印して楽しい思い出だけに囲まれる生き方も必要だと思いますが、現在悩んでいる人に対して軽はずみなアドバイスはしないよう心掛けていきたいです。
最後になりますが、「嫌われる勇気」は吃音のことにも触れられていて、吃音以外にも劣等コンプレックスを抱えている人にはオススメしたい一冊です。どこの本屋でも売れ筋ランキング上位に入っているので、気になった方は是非読んでみてください。
大人になって気付いた親の気持ち
幼い頃から両親のことが嫌いだった。
職場の教養
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/07/24